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JAPAN ECONOMIC REPORT
06.10.25
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日本経済最前線の視点から、理論ではなかなか学べない日本経済の現状や見通し
を分かりやすく説明する無料マガジンです。(読者数約30000名、通巻596号)
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ご無沙汰しております。アメリカに移ってはや8ヶ月が経ちました。自宅では
Los Angeles Timesを購読しているのですが、何しろ日本関連の記事は少なく、
Los Angeles Timesの一面トップを飾る事例はまだ見たことがありません。紀子
さまに男の子が誕生した時は、海外欄のページにかなりクローズアップされて掲
載されていましたが、安部新総理が誕生した時はその記事を見つけることができ
ませんでした(小さい記事としてどこかに掲載されていたかもしれませんが)。
LAは大いなる田舎、日本への関心は限りなく低いのが実情です。
ところで、最近"Mixi"を始めました。"JEREP"で検索すると出てきます。 【編】
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■経済の柔軟性
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定かな記憶ではありませんが、私が小学生の頃、アメリカの人口は2. 2〜2.3
億人程度だったと思います。日本の人口の大体2倍ぐらいかというイメージでい
たわけですが、US Census BureauのUS Population Clock(人口時計)は10月
17日付で遂に3億人を突破。
<<http://www.census.gov/population/www/popclockus.html>http://www.census.gov/population/www/popclockus.html>
アメリカの人口が1億人に達したのは1915年、2億人に達したのは1967
年。つまり1億人から2億人になるのに52年を要したわけですが、2億人から
3億人へは39年で達成。人口規模は中国・インドに次ぐ世界第三位、伸び率で
も他の先進諸国を圧倒しており、目先数十年は不動の三位と予想されています。
人口増の原動力はなんといってもヒスパニック移民の増加。2億人目のアメリカ
人が誕生した際は大統領も記者会見を行う程の話題となりましたが、今回の3億
人目の際はブッシュ大統領の記者会見や特別行事は無し。これは、アメリカ国内
での移民に対する考え方の分裂が顕著となり、政府もかなりナーバスとなってい
ることの現われと言えます(3億人目はメキシコ国境を越えて米国入りした人に
なるであろうとUS Census Bureauが予測したこともあるようですが)。
また、特筆すべきは単に人口規模が増えているだけでなく、GDPの伸び率、労働
生産性も他の先進主要諸国に比べて高いこと。米国と他の先進国との生産性格差
の理由は何であるのか。経済政策の問題でもあり、各国の政策担当者の関心が高
まっている論点の一つと言えるでしょう。
この要因の一つとしてよく言われるキーワードが「経済の柔軟性」。漠然として
いますが、企業・産業・行政での様々な段階での経済的な柔軟性、高い流動性を
有している労働市場の柔軟性、労働力の再配置を行い易い組織組織の柔軟性、規
制を必要最低限に留め競争を促進しようとする法制度の柔軟性といったものが有
機的に繋がり合い、企業間の競争を促し、経済全体の生産性を高めているといっ
た具合でしょうか。
特に労働市場の柔軟性については、私もアメリカに来てから実感する機会はよく
あります。会社が社員を解雇することも、社員が転職先を見付けて会社を去るこ
とも、ごく自然なこと。ただ、何れにしても労働市場の高い流動性があるからこ
そ、会社にとっても社員にとっても然したるダメージは無く、結果として適材適
所の人員配置が実現することによるメリットの方が大きいということになります。
また、海外投資(海外企業の米国への投資)を積極的に受け入れていることも生
産性を高めている要因の一つと言われています。生産性の高い外国企業が自国内
の市場に参入することにより、企業間の競争促進や企業に対する様々な刺激をも
たらし、産業全体の活性化・生産性アップに貢献するというものです。
では日本の生産性をアップさせる為に「右にならえ」的にアメリカのシステムを
そのまま導入すればよいかというと、私は決してそうは思いませんし、「和を以
って尊しとなす」的な日本のシステムも生産性を高めるアプローチの一つと思っ
ています(こんなことを書いていると、やはり自分は日本人だなぁと思ってしま
いますが。アメリカ人には絶対に受けない考え方です)。
ただ「経済の柔軟性」というキーワード自体は重要で、日本においてそれをもた
らすための代表的な政策としては「規制緩和」「構造改革」等が挙げられるでし
ょう。「規制緩和」「構造改革」という言葉も、ここ最近はあまり流行らなくな
ってきていますが(小泉内閣発足の頃はもっと新聞紙面などでも頻発していたキ
ーワードだったと思いますが)、経済の活力を生み出す為に、次々と斬新な施策
を打っていってもらいたいものです。 【編】
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